Blowin’ in The Wind /Bob Dylan(Dylan)

 「Dylan」というそのままズバリのBobdylanのベスト盤を借りてきたので

そこから「Blowin’ in The Wind(邦題「風に吹かれて」)を観賞する。

 収録されているアルバムは、セカンド・アルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」で、その一曲目。このアルバムのジャケットはニューヨークの街並みを、恋人と二人歩いている写真になっている。

 ディランを鑑賞するには歌詞が重要だと思われるが、歌詞の構成としては「どれだけの」を接頭に置いた社会への疑問を提示。そして、「敬愛なる友よ、その答えは風に吹かれている」で占める、といったもの。

 風は、アメリカ人の感覚としてはヤハウェかキリスト、いずれも神からのメッセンジャーという感覚で捉えられており、だからディランの立場としては、政治家に対して神よりメッセージを受け取った預言者となるわけである。この構造が、ディランを現代の預言者として、ディラノイストなる信者達を多産することになる。

 さて、ギターについてであるが、アコースティック・ギター一本でこれが、繊細で、現代に於いてこのような繊細な演奏は見受けられなくなってしまった。

 録音した季節を詳しくは知らないが、これはニューヨークに於ける「寒さ」を表現していると思う。そのボーカルも含めてギターのタッチにしろ、これだけ「寒さ」というものを豊かに表現している音源を、私は他に聞いたことがない。